本年度3回目となる島根県文化財保護審議会を傍聴しました。
今回も大社基地の保存をめぐって審議会の委員と事務局(文化財課)の間で議論が交わされました。
時間も限られた中での議論ですし、文化財課が論点をずらして自己正当化をするだけで、その意味ではこれまでと同様に議論が深まったわけではないので、徒労感とモヤモヤが残りました。むなしいですね。
文化財課には、大社基地が大事な文化財だから何とかしたい、という気持ちが全くなくて、何とかして批判をかわそうとして自分勝手な建前だけを繰り返すので、(我々3団体ともそうですが)委員と文化財課の間には接点が生まれるはずもありません。
例えば、「文化財課は文化財保存のためにこれまで大変な努力をしてきました」という一方で、今回の場合は「指定をすることは重大なことだから、価値判断が明らかでないので指定できません」などと、別に「即座に指定せよ」などと誰も要望していないのに、論点をずらして議論をはぐらかすのです。
そして「「価値判断が明らかでない」からと言ってそれを理由に破壊するのはおかしいのではないか?」という委員さんのまともな質問には、答えないのです。
また、「指定をすると現状変更できなくなるなどの厳しい規制をかけることになるから(できない)」って、出雲児童相談所移転候補地は県有地でしょ。規制をかけて誰が迷惑をするの?ってそもそも「指定」など誰も言ってないって。
なぜ通常の文化財と同様に、大社基地主滑走路でも試掘調査をして、文化財の価値を明らかにして、その上で開発するかしないかの判断をしないのですか?という当たり前の疑問には、全く耳を貸そうとしません。なぜそんなに試掘調査をするのが嫌なんでかねえ??
僕には分かりません。
ところで、本日の文化財保護審議会でも、出雲児童相談所移転候補地でボーリング調査をしたところ、地表面から下に40~50㎝のところで主滑走路のコンクリートが残っているようだ、という報告がありました。
現地には、ちゃんと、奇跡的にコンクリート滑走路面が残っていたのです。
(地下にあるにもかかわらず、これは「埋蔵文化財ではない」という、県民をさらに困惑させるような説明もありました…)
そこは戦後しばらくして盛り土をして機動隊の練習場を作っていますから、他の場所よりもコンクリートの残りは良好ではないでしょうか。
これは戦後、進駐軍が今回の移転候補地を上空から撮った写真です。
「黒い模様」があるのが見えますね。これが何か、僕にもよく分からないのです。
今回の移転候補地は、コンクリート舗装面の東端であることで大事なだけでなく、このような「黒い模様」がある謎の場所です。
進駐軍が「銀河」をここで焼いたという言い伝えもあるから、その痕跡なのかもしれませんし、米軍機に見つからないように、海軍が滑走路に模様を描いた(これを「偽装」と言います)名残なのかもしれません。
こうした疑問にきちんと答えることが文化財課の役割だと思います。
コンクリート舗装面が確認できたのであれば、一旦工事は中止してください。
破壊ありきではなく、まずは調査をしないと何も分かりません。
文化財行政であれば当然のことだと思います。
若槻真治
※追伸
外交の嘘、行政の嘘、国家の嘘がまかり通る昨今ですが、これからも「ニッポンの嘘」に立ち向かいたいと思います。 良いお年を!!
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外交の嘘、行政の嘘、国家の嘘がまかり通る昨今ですが、これからも「ニッポンの嘘」に立ち向かいたいと思います。 良いお年を!!