戦後史会議・松江

私たちの会は日本の近代化に疑問を持っています。近代化、国家、天皇制、植民地、戦争、ナショナリズム、沖縄、憲法、日米安保、地位協定・・・課題はたくさんあります。私たちは忘れかけている歴史に学び、問題提起をしていくことを目標にしています。

◎2023年12月25日の島根県文化財保護審議会

 本年度3回目となる島根県文化財保護審議会を傍聴しました。

 今回も大社基地の保存をめぐって審議会の委員と事務局(文化財課)の間で議論が交わされました。

 時間も限られた中での議論ですし、文化財課が論点をずらして自己正当化をするだけで、その意味ではこれまでと同様に議論が深まったわけではないので、徒労感とモヤモヤが残りました。むなしいですね。

 文化財課には、大社基地が大事な文化財だから何とかしたい、という気持ちが全くなくて、何とかして批判をかわそうとして自分勝手な建前だけを繰り返すので、(我々3団体ともそうですが)委員と文化財課の間には接点が生まれるはずもありません。

 例えば、「文化財課は文化財保存のためにこれまで大変な努力をしてきました」という一方で、今回の場合は「指定をすることは重大なことだから、価値判断が明らかでないので指定できません」などと、別に「即座に指定せよ」などと誰も要望していないのに、論点をずらして議論をはぐらかすのです。

 そして「「価値判断が明らかでない」からと言ってそれを理由に破壊するのはおかしいのではないか?」という委員さんのまともな質問には、答えないのです。

 また、「指定をすると現状変更できなくなるなどの厳しい規制をかけることになるから(できない)」って、出雲児童相談所移転候補地は県有地でしょ。規制をかけて誰が迷惑をするの?ってそもそも「指定」など誰も言ってないって。

 なぜ通常の文化財と同様に、大社基地主滑走路でも試掘調査をして、文化財の価値を明らかにして、その上で開発するかしないかの判断をしないのですか?という当たり前の疑問には、全く耳を貸そうとしません。なぜそんなに試掘調査をするのが嫌なんでかねえ??

 僕には分かりません。

 ところで、本日の文化財保護審議会でも、出雲児童相談所移転候補地でボーリング調査をしたところ、地表面から下に40~50㎝のところで主滑走路のコンクリートが残っているようだ、という報告がありました。

 現地には、ちゃんと、奇跡的にコンクリート滑走路面が残っていたのです。

(地下にあるにもかかわらず、これは「埋蔵文化財ではない」という、県民をさらに困惑させるような説明もありました…)

 そこは戦後しばらくして盛り土をして機動隊の練習場を作っていますから、他の場所よりもコンクリートの残りは良好ではないでしょうか。

 20231226j写真を見てください。
 これは戦後、進駐軍が今回の移転候補地を上空から撮った写真です。

「黒い模様」があるのが見えますね。これが何か、僕にもよく分からないのです。

今回の移転候補地は、コンクリート舗装面の東端であることで大事なだけでなく、このような「黒い模様」がある謎の場所です。

 進駐軍が「銀河」をここで焼いたという言い伝えもあるから、その痕跡なのかもしれませんし、米軍機に見つからないように、海軍が滑走路に模様を描いた(これを「偽装」と言います)名残なのかもしれません。

 こうした疑問にきちんと答えることが文化財課の役割だと思います。

 コンクリート舗装面が確認できたのであれば、一旦工事は中止してください。

 破壊ありきではなく、まずは調査をしないと何も分かりません。

 文化財行政であれば当然のことだと思います。

 若槻真治

※追伸
 外交の嘘、行政の嘘、国家の嘘がまかり通る昨今ですが、これからも「ニッポンの嘘」に立ち向かいたいと思います。 良いお年を!!

◎大学の自治を考える学習会のお知らせ

 大社基地滑走路の東端付近、出雲児童相談所の移転先で工事のためのボーリング調査をしたところ、地中にはコンクリート舗装した滑走路が残っていたようです。
 それと、新聞報道にもありますが、大学改悪(大学に対する国家権力による管理強化)が進みつつあって、そのことに関係した学習会が開催されました。(連絡が遅くなってごめんなさい。)

◎大学の自治を考える学習会のお知らせ
報道もされていますが、大学に対する政府の管理統制が強まり、大学がその性格を変えつつあります。自由に研究する場ではなく、政府の意向の下で、政府に奉仕する機関にしてしまおうということだと思います。
 学術会議と同じように、政府にたてつくような大学や研究者は排除したいのでしょう。

 ロ・ウ戦争は権威主義国家と民主主義国家の戦争だそうですが、民主主義国家の側だったはずの日本も、権威主義国家と実質は何も変わらないのだ、ということがよく分かります。
 そして、これは「大学内」の問題ではないと思います。
 大学の自由が弱体化することは、私たちの社会の自由が衰弱することとおそらく同一です。(この方向で進むと、究極的には治安維持法と学徒出陣でしょうね)
下記の日程で学習会が開催されますので(参加自由)、興味のある方はご参加ください。

日 時:12月22日(金) 18時~19時30分
場 所:島根大学法文学部棟3階340教室
タイトル:「大学の自治」の「外堀」「内堀」と私たち
  ―大学審議会・国立大学法人化から「国立大学法人法改正案(稼げる大学法案)」へ―
話題提供:竹永三男(島根大学名誉教授、日本近代史。島根大学職員組合元委員長)
主 催:島根大学職員組合
※どなたでも参加できます。事前の申し込みは不要です。


内容
 今月の国会で、「国立大学法人法」改定案が成立しました。この法律は、一定規模以上の国立大学法人に、大学の基本となる運営方針事項を決定する「運営方針会議」(委員の選任には文部科学大臣の承認が必要)の設置を義務付けることなどを内容としています。
 この法案には大学関係者に加え、新聞等のメディアなどが、大学の自治、学問の自由を侵害するとして反対していましたが、審議がつくされないまま、多数で押し切られました。

 話題提供では、「大学自治」を民主的手続きに基づいた大学の自律的運営ととらえ、大学の自治を保障する「外堀」(=法令・制度)と「内堀」(=学内規則・運営慣行)が改変され、埋め立てられてきた経過をたどります。そして、その上で、この「国立大学法人法」の改定が大学と大学関係者だけでなく、市民一人々々にも重大な影響(悪影響)を与えるものであることについて、参加者と一緒に考えます。

◎大社基地に関する続報
 大社基地主滑走路の東側(松江側)の出雲児童相談所移転候補地となっている場所で、工事に先立ってボーリング調査が行われたようですが、地下に主滑走路のコンクリート舗装が残っていたことが確認されたようです。
 戦後、機動隊の訓練場にするために、滑走路に盛土してアスファルトを貼っていたのでしょう。地下で「保護」されていた状態ですので、住宅団地で破壊された西側や、葬祭会館の東に残っている滑走路よりも、さらにその保存状態は良いのではないでしょうか。
 この貴重な滑走路、奇跡的に残っていた80年前の滑走路を、文化財としてきちんと取り扱うことがなぜできない?
 しつこいけど、これからも言うしかないな。

◎出雲児童相談所の移転計画

大社基地講座チラシ第9回皆さんこんにちは

 パーティー券の問題が明らかになっても(全部ではないと思いますが)、大臣が変わっても、まったく展望がありません。だから楽しくないですね。

 激しい戦争が続いていることが一番かもしれませんが、あきれたり文句をつけたくなるようなことが多すぎて、疲れる一方ですね。

 米軍が「不時着水」だと言えば「不時着水」と言うし、「墜落」だと言えば「墜落」だと言うし、こうやって日本人が戦争に動員されるのだなあと思うと、死んでゆく人たち(自分かもしれないけど)はむなしいですね。

 

20231216j11月28日に、島根県知事、島根県教育長、島根県健康福祉部長から、別紙のような回答が届きました。PDF)

 島根史学会、島根考古学会、戦後史会議・松江の3団体は、出雲児童相談所の移転場所が大社基地主滑走路でしたから、もう一度考え直してほしいと、再考を要請しました。
 島根史学会、島根考古学会、戦後史会議松江の 3 団体は、
出雲児童相談所の移転に反対しているわけではありません。ただ、「何もわざわざ、全国的にも貴重な主滑走路を壊して建てなくても…どこか別に、児童相談所にふさわしい場所があるのでは…」と思って、島根県に再考をお願いしています。

しかし結果は予想通りでした。

「もうすでに決めたことです。
県議会で議決も受けました。
だから再考できません。
予定通り出雲児童相談所は大社基地主滑走路に移転します。」

というようなことが回答書には書いてありました。

「すでに決めた」のは、周辺の施設は(出雲市が)調査しますが、主滑走路は破壊します。ということです。

調査もせずに島根県最大規模の戦争遺跡の破壊を決める文化財保護行政って何?

 そもそも「周辺の施設」と「滑走路」を分ける意味が僕には分かりません。

「価値基準」がないだのどうのと言っていて、ではなんで「価値基準」もないのに「周辺の施設」と「滑走路」を分けるのでしょう?

  航空基地(飛行場)は滑走路が発展して、拡大して、爆弾庫や魚雷庫や燃料庫や庁舎や兵舎が滑走路にくっついてできたものです。
 つまり、航空基地(飛行場)にとって、滑走路は原点であり、核心的施設であり、中枢であり、最重要施設であり、お城で言えば天守閣なのです。

それなのに滑走路は調査せずに破壊するが他は調査するってどういうことでしょう?常識的には考えられない理屈です。

 普通は逆なのです。

 それに、議会で審議した時にも、出雲児童相談所の移転先が大社基地滑走路だという説明は全く行っていません。県議会の議員さん方は、そこがどこか分からずに提案されて、承認されたのです。

 これも僕は変だと思いますけどねえ。正々堂々と、ここが大社基地の滑走路だということを言ってから審議してほしかったなあ。なんで隠すのかなあ。

出雲児童相談所の移転先は大社基地主滑走路の東端にあたり、とても大事な場所です。

引き続き県には再考を求めますので、ご賛同の方は応援してください。


 若槻真治
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